この記事では日本のインターネットの歴史をふり返ります。
筆者は25年以上のインターネット歴があり懐かしい話ばかりです。
筆者:rido
20年以上前からテキストサイト(ブログの前身)運営。ネット媒体の雑誌記事作成などに関わる。
歴史は知らなくても大丈夫です。
現代において、光回線やWi-Fiを通じて、パソコンやSwitchのゲーム・Vtuberの動画実況・スマホゲームを楽しんでいただければ良いだけです。
それでもたまに振り返りたくなるのが歴史の不思議なところです。
この記事でわかること
- 年代別にインターネットの歴史を簡易的に振り返ります
- 現代ここまでネットが安く快適になったのは歴史があったから
- 歴史を知ることでインターネットの拡がりに貢献してくれた先人に感謝を
インターネットは現代では「検索そのもの」
現代においてはインターネットは「検索そのもの」を指すことが多いです。
「ネットで調べて」といった会話をすることが多いでしょう。
1980年代は”パソコン通信”、1990年代後半から”インターネット”が家庭で普及します。
インターネットの定義
- HTMLで書かれていて世界中どこからでも同じようなページに見える
- アクセスに制限がなく世界中誰もがアクセスできる
- 自分で自由に直接入力やリンクを通じて目的のページを見に行くことができる
この定義は現代では少々変わっています。
- HTMLはバージョンアップされHTML5.2→HTML Living Standardとなっている
- 創生期はURL直接入力やリンクに頼ることがメインだったが現代はほぼ100%「検索」でサイトを探す
インターネットが普及しきっていないころは広告で「当社のホームページはhttp://〇〇です」と記載されていることが多かったです。
最近だと「詳しくはWebへ」「〇〇で検索!」とだけ書いてあることが多いですね。
それだけ「検索」が普及したということです。
以下の長々とした歴史を知らなくても、スマホやパソコン、You Tubeで「検索」さえできればインターネットにアクセスして知りたいことを知ることができる時代になっています。
1980年代 インターネットが日本に普及する礎の時代
インターネットが日本に普及する背景は、1980年代にパソコンの普及が進んだことが大きな要因となっています。
当時、パソコンは主に企業や研究機関で使われていましたが、個人でも手軽に使えるようになり“パソコン通信”が盛んになりました。
パソコン通信は、電話回線を使ってパソコン同士でデータ(おもに文字)をやり取りするサービスです。
今でいう「インターネット」とは異なり、簡単なデータや文字をやりとりするだけでした。
当時は電話回線の通信速度が遅くデータのやり取りに時間がかかりました。
それでも、情報交換やコミュニケーションの手段として、広く利用されました。
主なパソコン通信サービス
- 1985年 ASCII-NET (アスキーが設立)
- 1986年 PC-VAN (NECが設立)
- 1987年 Nifty-Serve (ニフティ設立)
(それぞれの「電子掲示板」にはいろいろなローカルルールがありました。)
ニフティサーブの成功
この中でも特に成功、ネット文化の引き上げ役になったのがNIFTY-Serve(ニフティサーブ)です。
NIFTY-Serveがパソコン通信サービスとして、ネットの普及に大きく貢献したことは、今でも忘れることができません。
最初にエンドユーザー間に利用できるサービスとして普及したのがNIFTY-Serveです。
出資した日商岩井(NI)と富士通(F)の頭文字を取った株式会社エヌ・アイ・エフが1987年に「NIFTY-Serve」を誕生させ、のちに会社名も「NIFTY」となりました。
ニフティサーブは先進的な取り組みを行い、1990年代前半にはPC-VANを抜いて日本一のパソコン通信となりました。
パソコン通信は今から見るとほぼ文字だけの文化ではあります。
「各家庭にいながら回線で日本中の人たちと繋がる」ということが可能ということを見せ、のちのインターネットの普及に大きく貢献したと言えます。
現代ではインターネットの技術やサービスも進化し、多くの人々が利用するものとなっています。
1990年代後半に入るとパソコン通信からインターネットの移行が始まり、少しずつ衰退、2005年にはサービスが終了しました。
1990年代 インターネットの誕生
1990年代後半に入ると、日本でも”インターネット”が普及し始めました。
当時は、インターネット接続には専用の回線が必要で高額な費用がかかりました。
まだダイアルアップ接続といって通話と同じ扱いで「3分10円」のような額がかかったのです。
高すぎる!という声を受けて、1995年には23時-8時間の深夜帯のみ定額で接続できる「テレホーダイ」が始まりました。
これによって、ネット好きは深夜帯にがんばるという“よくない文化”が定着しました。
1990年代には、インターネットを利用した新しいビジネスモデルが生まれ、ECサイトやポータルサイトなどが登場しました。
これらのサイトは、インターネットを通じて商品や情報を提供することで、新たな市場を開拓してきました。
「Amazonで買い物したいからインターネットを始めよう」なんて動機が本当にあったのです。
主なECサイトの設立年
1995年 アマゾンがアメリカでサービス開始(日本では2000年サービス開始)
1997年 楽天市場がサービス開始
1999年 Yahoo!ショッピングサービス開始
インターネットが日本に普及するまでの背景には、パソコン通信やインターネットの技術革新、通信インフラの整備、新しいビジネスモデルの登場などがありました。
これらの要因が重なり合い、インターネットが日本に普及する契機となりました。
多数のプロバイダーが誕生
この時期にはプロバイダーの競争が激化しました。
NTT以外にも、IIJやBIGLOBEなどのプロバイダーが誕生した時期でもあります。
主なプロバイダーの設立年
1992年 日本初プロバイダー、AT&T、IIJが誕生
ニフティもインターネットサービスを開始
1994年 GOL、ASAHIネットがインターネットを開始
1996年 NTTが設立した「OCN」が誕生、
NECがPC-VAN(パソコン通信)を統合、BIGLOBEが誕生
創生期プロバイダーの成功により、他のプロバイダーが次々と誕生し、インターネットが一般的なものとなっていきました。
プロバイダー最多時代は数えられないくらいのプロバイダー業者が存在しました。その数はなんと1000社以上もありました。まさにネットバブル。
当時のインターネットの回線の繋がりをしめした、インターネットマガジンの「プロバイダーマップ」というものもありました。(覚えている方はかなりの古参です。)
“プロバイダーマップは、1995年6月号(月刊化1号)から始めて、2001年の10月号まで続いた。最後のマップでは1000社以上のプロバイダーが記録”
「プロバイダーマップ」制作秘話
インターネットの普及が一気に進み、多くの人々がインターネットを利用するようになってきました。
現在では、日本には多くのプロバイダーが存在し、インターネット接続に必要な機器や回線も、以前に比べて格段に安価になっています。
2000年前後にADSLや光ファイバーなどの新しい通信技術が登場し、プロバイダー間の競争が一層激化していきました。
2000年代の日本のインターネットプロバイダー
安価かつ光回線までのつなぎ技術としてADSLが普及
光回線の技術が実験段階を終え、敷設が始まった時期です。
しかし、普及速度が遅くユーザーの不満がたまっていました。
そこで出てきたのがADSLです。
ADSLは光回線ではなく、従来の銅線(メタル回線)を流用して高速通信ができる技術で、1990年代からアメリカを中心に普及していました。
NTTはADSLは「通信が不安定になる」「光回線の普及の妨げになる」などとしてずっと反対していました。
しかしユーザーの声に押されて、1999年に日本国内でADSLが開始されました。
ADSLのおかげで家庭に高速インターネットが普及。
2001年は「ブロードバンド元年」と呼ばれることになりました。
Yahoo!BBは画期的だった
「Yahoo!BB」は、日本のインターネット普及における重要なトピックとなっています。
ADSLの爆発的な普及、インターネット常時接続の一般化に大きな功績があります。
「駅前で無料でモデムを配る」という今では冗談のような営業スタイルが伝説として語られます。
当時は爆発的にインターネットが普及開始し、2000年ころには不満がうずまいていました。
光回線が開始され、今までのダイアルアップ接続での不満の数々「遅いなー」「高いなー」「テレホーダイ不便だなー」が解消されると思われました。
ADSLは、光回線ではなく当時一般的であったメタル回線を使用して当時としてはかなり速い回線速度を出すことができる技術サービスでした。
しかし、NTTは光回線を普及させたいため、その障害となるADSLの普及には本腰になっていませんでした。
「ADSLの速度で充分じゃないか」と思われてしまうと光回線の普及の妨げになり、せっかく普及させていきたい光回線の利益が減ってしまいます
Yahoo!BBの特徴である「格安」「支払い先の一本化(NTTとプロバイダーの2か所に払う必要なし)」「IP電話で通話料無料」これらは当時は画期的なことでした。
光回線の誕生と普及
パソコン通信やインターネットが普及するにあたり、通信インフラの整備が必要となってきました。
当時は、電話回線を使って通信することが主流でしたが、通信速度が遅く、回線が混雑すると接続が切れることも多くありました。(途切れることは普通のことでした。)
2003年に光ファイバーなどの高速通信インフラの整備が進められ開始、インターネットの普及に大きく貢献してきました。
1999年 東京めたりっく通信”ADSL”の”常時接続サービス”開始
2000年 イー・アクセス、アッカ、ADSLサービス開始
NTT東日本・西日本「フレッツADSL」開始
2001年 Yahoo!BBサービス開始
NTT東日本・西日本「Bフレッツ」(光回線)開始
2002年 各地の電力会社が光回線(FTTH)に参入
2003年 ADSLのサービスが8Mから20M、さらに40Mへ向上
KDDI光回線サービス開始
2004年 ADSL加入者が1,000万人突破
Yahoo!BB個人情報漏洩発生
2005年 FTTH(光回線)純増数でADSLを上回る
2006年 ADSLが純減に転じる
Yahoo!BBに負けじとほかのプロバイダーも台頭
2000年代の日本において、インターネットプロバイダーは急速に発展し多くの企業が参入してきました。
この時期には、主要なプロバイダーとしては大手のOCN、KDDI、ソフトバンク、OCN、BIGLOBEなどが挙げられます。
OCN
NTTコミュニケーションズが提供するインターネットサービスのブランド名
個人向けのインターネット接続サービスを提供していました。
KDDI
auブランドで知られる携帯電話事業者であり、ブロードバンドサービスも提供しました。
ソフトバンク
携帯電話事業者としても知られる企業であり
Yahoo! BBというブランド名でブロードバンドサービスを提供
BIGLOBE
NECグループの企業であり、ブロードバンドサービスを提供
これらのプロバイダーは、高速インターネット接続サービスを提供することに加え、セキュリティ対策やメールサービス、ウェブホスティングなどのサービスも提供していました。
また、2000年代後半には、NTTがサービス名フレッツ光で光ファイバーを利用した高速インターネットサービスが普及し、多くのプロバイダーがこのサービスを提供するようになってきました。
2000年代の日本のインターネットプロバイダーは、高速インターネット接続サービスを中心に、多様なサービスを提供するようになりました。
これらのプロバイダーは、現在でも日本のインターネット市場において重要な役割をはたしています。
2010年代の日本のインターネットプロバイダー
2010年代に入り、日本のインターネットプロバイダーは急速に発展し、多様化していきました。
また、寡占状態になりつつあることから、合併や経営会社の変更などが進みました。
主要なプロバイダーは、現代と変わらずKDDI、ソフトバンク、OCN、BIGLOBEなどが挙げられます。
NTTコミュニケーションズは、光ファイバーを利用した「フレッツ光」を提供し、高速かつ安定したインターネット接続を実現している。
また、KDDIは「auひかり」を提供し、高速かつ安定したインターネット接続に加え、様々なサービスを提供しています。
ソフトバンクは、モバイル通信事業を展開しているが、光ファイバーを利用した「Yahoo! BB」も提供しており、高速かつ安定したインターネット接続を実現しています。
OCNは、NTTコミュニケーションズの子会社であり、光ファイバーを利用した「OCN光」を提供しています。
BIGLOBEは、NTT東日本の子会社であり、光ファイバーを利用した「BIGLOBE光」を提供している。また、モバイル通信事業も展開しています。
これらのプロバイダーは、高速かつ安定したインターネット接続を提供するだけでなく、様々なサービスを提供しており、顧客満足度も高いです。
また、新しい技術やサービスにも積極的に取り組んでおり、今後もさらなる発展が期待されています。
光コラボの開始
2015年に「光コラボ」が開始されました。これは画期的でした。
これはNTTの光回線を使うものの、サービス名フレッツ光ではなく、支払いをプロバイダーのみで完結する契約のサービスで以前のYahoo!BBと同じやりかたです。
Yahoo!BBとはあれだけケンカしていたNTTがシェアを取るために大きな方針転換をしたといえるでしょう。
原因は電力系や独自回線系の普及です。
これらは速さを売りにしており、地域によってはナンバー1の普及率を取っているところもあります。
関西のeo光や中部のコミュファ光ですね。
これらに安さや分かりやすさで対抗するためには光コラボが必要だったのです。
これで料金が比較しやすくなり、ユーザーにとっては良いことになりました。
2020年代の日本のインターネットプロバイダー
2020年代になると光回線の普及は若干おだやかになってきました。
それでも、ネットゲームの普及でのラグやPing値を気にする方の増加、Vtuber配信者などで1Gコースでは物足りず10Gコース、安定性がさらに求められる時代になっています。
これからが光回線の重要性が増していると言えます。
2020年代の日本において、インターネットプロバイダーは多数存在しています。
主要なプロバイダーとしては、ドコモ光、nuro光、ソフトバンク、楽天などです。
NTTは、光ファイバーを利用した高速インターネットサービスを提供しており、企業向けにもクラウドサービスやセキュリティサービスなどを強化しています。
現代では、分かりやすい「光コラボ」がメインになっています。
NTTのフレッツ光とプロバイダーの2つと契約する必要がなく、プロバイダー1社と契約するだけで済みます。
KDDIもNTTと同じく光回線を持っていますが、関西地方など空白区があります。
携帯電話事業を中心に展開する通信企業で、光ファイバーを利用したインターネットサービスも提供。
また、IoTやクラウドサービスなどの分野でも事業を展開しています。
ソフトバンクは、携帯電話事業を中心に展開する通信企業です。
独自の光回線は持っておらずNTTの「光コラボ」を利用して光回線を提供しています。
また、ロボットやAIなどの分野でも事業を展開しています
2020年代は上記3社に加えて、楽天が携帯電話事業に参入してきました。
楽天は、オンラインショッピングモールを中心に展開する企業で、モバイル事業や金融事業なども展開しています。
光回線は所有しておらず、楽天ひかりはNTT回線光コラボの1つです。
独自の光回線を持つ会社は、各地の電力系(eoひかり、コミュファ光、メガ・エッグ、ピカラ光、BBIQ光)やnuroなどがあります。
これら独自の光回線は地域限定ですが、かなり速く、また安い場合が多いです。まず検討してみましょう。
プロバイダーはそれぞれ独自のサービスや特徴を持っており、顧客のニーズに合わせたサービス提供を行っています。
また、2020年代には5G通信の普及が進むことが予想されており、プロバイダー各社も5Gサービスの提供に向けて取り組んでいます。
高額な解約金の禁止
2022年からは高額な解約金が禁止されました。
これは携帯電話会社の解約金、MNPに対するしばり、SIMロックの禁止などに呼応するように、
「光回線は2年契約で解約月以外に解約すると高額な解約金がかかるのはおかしい!」
という声が大きくなったからです。
電気通信事業法の改正で、違約金は月額利用料に相当する金額までとなりました。
違約金が発生した場合、月額利用料を超える違約金は請求されません。
改正前の違約金 | 9,000円〜30,000円 |
改正後の違約金 | 3,000円〜8,000円 |
現在は、
- そもそもいっさいしばりが無いプロバイダー・プラン
- 2年しばりがあるプランでも「解約金は、解約月と次月の2ヶ月分」
となっています。
ただし、プロバイダーは慈善事業ではありませんので、「工事費」についてはかかります。
NTTフレッツ光から電力系に切り替えるときには工事は当然必要です。
(ここに目をつけたのが「光コラボ」サービスで、光コラボ内の会社変更であれば工事費はかかりません。)
工事費については、現在においても
- 24ヶ月に分割して支払い
- 同額を24ヶ月に渡って割引して実質無料
- 途中解約した場合は工事費残額を請求
となっているプロバイダーが多いです。
このため、「違約金についてはあまり考えなくてもよく」なりましたが、「工事費残額についてはよく考えて」おきましょう。
見比べて、契約・解約の時期については慎重に検討しましょう。
まとめ
プロバイダーの発展と競争
インターネットの普及に伴い、プロバイダーの数も増加し、競争が激化しています。
プロバイダーは、インターネットに接続するための回線を提供し、ユーザーにインターネットサービスを提供する役割を担っています。
プロバイダーの発展には、技術の進歩が大きく関わっています。
初期のプロバイダーは、ダイヤルアップ接続を提供していましたが、現在では、光ファイバーやの高速回線が主流となっています。
また、モバイル回線を提供するプロバイダーも増加しており、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスからもインターネットに接続することができます。
競争が激化する中、プロバイダーは、価格やサービスの質などで差別化を図り、顧客獲得に努めています。
また、新しい技術の導入やサービスの拡充など、常に進化を続けることが求められています。
一方で、プロバイダーの数が増加することで、市場が分散し、競争が過剰になることもあります。
そのため、業界の再編や合併などが行われることもあります。
今後も、インターネットの利用がますます普及する中、プロバイダーは、技術の進歩やサービスの拡充などを通じて、顧客獲得に努めることが求められています。
また、競争が激化する中、市場の変化に対応し、柔軟な対応が求められています。
現代のプロバイダー事情は、インターネットの普及に伴い急速に変化しています。
新しいプロバイダーの登場や、競争、サービスの多様化、役割の変化など、様々な要因が影響しています。
今後も、プロバイダー事情は変化し続けることが予想される。
プロバイダーに求められる役割は増している
プロバイダーの歴史から見ると、日本のインターネット事情は、急速に発展してきたと言えます。
現在では、スマートフォンやタブレットなどの普及により、インターネット利用者はますます増加しています。
今後も、IoTや5Gなどの新しい技術が登場することで、インターネットの発展が期待されます。
日本のプロバイダーの歴史を振り返ると、インターネットの普及に大きな役割を果たしてきたことがわかります。
プロバイダーの発展によって、インターネット利用者は急増し、競争が激化したことで、より高速で安価なインターネット接続サービスが提供されるようになりました。
今後も、新しい技術の登場によって、インターネットの発展が期待される。